山田幸代のhappy対談

Happy対談は、プロラクロスプレイヤー山田幸代がアスリートとして大切にしていることを発信するプラットフォームです。スポーツ界で活躍されている方々にフォーカスし、生き方やHappy哲学について対談を行い、スポーツを通して世の中をどのようにHappyにするかをアスリートと共に考え、発信していきます。

Vol.5

第5回は、小柄ながら力強い滑りを見せるスノーボーダー、本多未沙選手をお迎えしました。インストラクターとしても活動している本多選手の、スノーボードと真摯に向き合う姿勢に、冬のスポーツはしたことがないと言う山田幸代は刺激を受けたようです。

Profile

山田 幸代 (やまだ さちよ)
プロラクロスプレイヤー

1982年生まれ。滋賀県出身。日本初のプロラクロッサー。2007年9月にプロ宣言し、2008年から女子ラクロス界では世界トップクラスのオーストラリアリーグに加入。2016年12月、念願のオーストラリア代表に選出され、2017ワールドカップ、2017ワールドゲームズに出場。ワールドゲームズでは銅メダルを獲得。2013年4月から母校・京都産業大学の広報大使、2014年12月から京都国際観光大使を務めている。

本多 未沙(ほんだ みさ)
プロスノーボーダー

1994年生まれ。神奈川県出身。日本スノーボード協会認定デモンストレーター。両親の影響で、小学校3年生からスノーボードを始める。2019年に行われた、第26回JSBA全日本スノーボードテクニカル選手権では、惜しくも1点差で優勝を逃す。

恐怖より願望

山田:私、冬のスポーツをしたことがないんです。姉夫婦が子どもの名前をスノーボードブランドにちなんで付けたくらいスノーボードが大好きで、一度は一緒に滑ってみたいと思うものの、けがをしやすいイメージがあって。ラクロスは膝のけがが多いんですが、スノーボードも膝をけがしやすそうですね。

本多:膝と腰が多いですね。膝の靱帯を痛めると1年くらい治療とリハビリでプレーできなくなってしまうので、なるべくけがをしないように気をつけています。

山田:私はラクロスの試合で、誤ってスティックで叩かれてしまったことがあるんです。でも、アドレナリンが出ているので、ユニフォームが血だらけなのも気づかないままプレーしていて、相手チームの選手に言われて血を見た瞬間、気を失いそうになったことがあるんですけれど(笑)。本多さんは今までに大きなけがをしたことはありますか?

本多:中学生のとき、顎の骨を折ってしまいました。スピードが出過ぎたんですね。私は、最初からスクールに入って基礎から段階を踏んで習ってきて、いきなり危険な技に挑戦するようなことはしなかったので、それ以外は大きなけがはしていません。

山田:骨折してから、滑るのが怖いと思ったことはないんでしょうか?

本多:そのときすでに選手として大会に出ていたので、怖いという気持ちより、早く試合に出たい気持ちの方が勝っていました。

山田:お父様の影響でスノーボードを始められたそうですね。

本多:もともとスキーをしていたんですが、父がスノーボードをしている姿を見て楽しそうだなと思って。両親はすぐに、千葉県にあった室内ゲレンデのスクールに入れてくれました。初めて滑ったときから楽しくて、毎週滑りに行くくらい家族全員でスノーボードにはまってしまいました。

山田:スノーボードはバランス感覚が大事だと思いますが、どんなトレーニングをされているんでしょう。

本多:体幹と下半身の強化がメインです。バランスボールを使ったり、脚を鍛えるためにバーベルを担いでスクワットしたりしています。

山田:やっぱり体は大きい方がスピードは出るんですか?

本多:スピードを出すには、ある程度重量が必要です。でも、スノーボードにはいろいろな競技種目があって、体格は種目の特長によって違います。回転するのは小柄な方が有利ですし、スノーボーダーに身長が高い人はあまりいないですね。

レースで鍛えられるメンタル

山田:オフシーズンはどんな過ごし方をされているのでしょう。何か他のスポーツはされますか?

本多:趣味でゴルフをしています。スノーボードは冬にしかできないので、オフにはサーフィンやゴルフとか、違うスポーツをする人が多いんです。やってみたら難しいけれど、面白くて。

山田:私も最近ゴルフをするので、いつか一緒にラウンドできる機会があるといいですね。
競技についてお聞きしたいんですが、スノーボードにはいろいろな技がありますよね。その技を習得するための取り組みについて教えていただけますか。

本多:大事にしているのは、頭の中で技を成功させている姿を思い描くことです。常に自分が滑っているところを想像して「できるイメージ」を持つようにしたり、やりたい技が上手な人の滑りを見たりしています。目からの情報もすごく大事なんです。

山田:ジュニアの頃からハーフパイプの大会に出場されていて、その後スノーボードクロスにも出られていますが、選手から見る2つの競技の違いってどんなことでしょう。

本多:ハーフパイプは、ジャンプの高さや技の完成度など、細かいところまで審査される採点競技なので、技の精度を磨いて成功率を上げることが必要です。そのために同じ技を何度も何度も繰り返し練習したり、高さを出すために限界スピードを上げる練習をしたり、上手な人の後ろについて滑ったりしています。
スノーボードクロスは、もろ勝負のスピードを競うレースです。ハーフパイプが一人で滑るのに対して、すぐ隣りに他の選手がいて気になりますし、負けん気を出さないと駄目なので、同じスノーボードでも全然違う世界だなと感じています。レースに出るようになってからメンタルが鍛えられました。

山田:その鍛えられたメンタル、他にもいい影響を与えるかもしれませんね。一番好きな競技は何ですか?

本多:インストラクターの資格を持っている人が出られる、総合滑走能力を競う「スノーボードテクニカル選手権」という大会があって、今それをメインにしています。採点競技なんですが、カービングターンや制限滑走などいくつか種目があって、一つでも落としてしまうと上位にいけないので、全種目良い結果を出せるかどうか、自分との戦いでもあります。

競技として、レジャーとしてのスポーツ

山田:スノーボードがオリンピック種目になってから、競技人口は増えたと思いますか?

本多:メーカーの方に聞いても、それほど競技人口が増えたということはないようです。オリンピックを見て「すごいな」と思っても、競技とレジャーとしてのスノーボードが結びつかなくて、自分もやってみようとはあまりならないみたいです。

山田:それは、競技に出られるほどの技量の習得が難しいからでしょうか。なぜだと思いますか?

本多:冬にしかできないですし、ゲレンデに行くまでの時間や交通費がかかって、道具も必要で気軽にできないからだと思います。レジャーとしても魅力があるスポーツなので、競技に出なくてもスノーボードをする人が増えてほしいですね。

山田:ラクロスは、レジャーになりにくいスポーツなんです。ラクロスができる場所が少ないですし、メンバーを集めるのも、対戦チームを見つけるのも難しい。でも、レジャーでする人が増えれば、必ず選手になる人も増えていきますよね。

本多:興味を持ってもらえれば、その中から選手を目指す人は出てくると思います。

山田:私は、ラクロスを子どもたちに広めたいという思いがあって、そのために、2028年の夏季オリンピックでの正式種目採用を目指して活動しているんですが、冬のスポーツで球技はアイスホッケーだけですし、冬期オリンピックの種目にしたいとも考えているんです。ラクロスには、アイスホッケーリンクの上に芝を敷いて、通常10人対10人のところを6人対6人でプレーできるルールがあるので、それを実現させたいと思っています。
本多さんは、スノーボードの普及活動に興味はありますか?

本多:「デモンストレーター」という、インストラクターの中でもトップ選手しかなれない肩書を持っているんですが、みんな選手でありながら指導もしているのは、少しでも競技人口を増やしたいと考えているからだと思います。私も、スノーボードをしたことがない人に、その楽しさをどんどん伝えていきたいですね。

「できた!」が次のステップアップにつながる

山田:レジャーで始めたスノーボードで、大会に出場しようと思われたきっかけは何だったんでしょう。

本多:スクールの友だちに誘われたのがきっかけです。初めて出場した大会で優勝したのがとにかく嬉しくて、それから自然と関東大会、全日本大会を目指すようになりました。

山田:その感覚、分かります。私がラクロスにはまっていったのは、試合に出る度に練習の成果を感じることができたからです。本多さんのように、大会で優勝したというフィードバックが、次のステップアップを目指すモチベーションになりますね。コーチとして私が心がけているのも、選手に対するフィードバックの早さです。
自分で自分の成長を感じられたり、試合で練習の成果を出せたときって、「できた!」「楽しい!」「もっと頑張ろう」と思う瞬間ですよね。ご自身の中で、今でも覚えているそういう瞬間はありますか?

本多:ハーフパイプってやっぱり、最初は壁の外に出る高いジャンプができないんです。まずは壁の外に出ることが目標で、私もそこがなかなか越えられませんでした。やっと少し壁から出られるようになったときは本当に嬉しかったし、自分の成長を感じられて、さらにのめり込んでいきましたね。一歩一歩練習を積み重ねてできるようになった感覚は、今でも覚えています。

山田:あの壁の上に立つだけでも怖そうですが、恐怖心を乗り越えるのは大変じゃないですか?

本多:子どもの頃は楽しいだけでしたが、技の練習を始めると頭をぶつけて脳しんとうを起こしたこともありますし、痛い思いも怖い思いもたくさんして、できていた技が急にできなくなって最初に戻ったりを繰り返しています。でも、どうしてもできるようになりたいという目標があるので、とにかく反復練習、毎日練習して感覚を麻痺させるというか、そうやって乗り越えました。

山田:今日初めてお会いして、小柄で可愛らしいという第一印象でしたが、お話を聞いていて、自分の芯を持った強い方なんだなと思いました。
私は、2回目のチャレンジでオーストラリア代表に選ばれたんですが、1回目のチャレンジで選ばれなかったのは、「このチームに必要なのはどんな選手だろう」「監督に選ばれる選手になろう」ということばかり考えていて、自分の芯がなかったからなんです。芯のある人が集まっているのが強いチーム。選ばれる選手ではなく、「選ばせる選手」でないと駄目なことに気づきました。だから、芯を持った本多さんは、チームスポーツにも向いていると思います。

本多:そうですか?自分では個人プレーが向いていると思っていて、チームスポーツの人は、私にはないものを持っているんだろうと思っていたので嬉しいです。

山田:チームメートから頼りにされるプレーヤーになると思いますよ。
先ほど、ご両親が毎週ゲレンデに連れて行ってくれたというお話をされていましたが、ご両親は一番の理解者、サポーターですね。

本多:はい。母は、大学生まで大会には必ず同行してくれました。あとで自分の滑りを見直せるように、全部ビデオに撮ってくれて。母もスノーボードをするので、上手いわけではないんですが見る目は持っていますし、他の選手の滑りも見ているので、客観的で鋭いアドバイスをくれます。
ずっと一緒にいると素直になれないこともあって、けんかしたこともありますが、安心して頼れるし、両親のおかげでここまでこられたので本当に感謝しています。

仲間の存在が成長の糧

山田:今、掲げているチャレンジは何ですか?

本多:選手とインストラクターの両立です。選手として結果を残しながら、インストラクターとして指導もきちんとしていきたいと思っています。

山田:素晴らしいですね。子どもたちを指導することもあるんですか?

本多:あります。なので、いつか選手を育ててみたいですね。自分が選手として経験したことを生かせることに魅力を感じます。

山田:試合で上手くいかなかったり、悔しい思いをしたとき、どうやって気持ちを切り替えていますか?

本多:大会で負けたり、技を失敗しても、必ずそれをプラスに捉えようとしています。ネガティブになって諦めるんじゃなくて、ポジティブに考えて、次の目標に進んでいくことを大事にしています。あとは、基本的に運動するのが好きなので、トレーニングして汗をかいてすっきりさせます。

山田:私はトレーニング大嫌いです(笑)。

本多:野球観戦も気分転換になります。ジャイアンツのファンなんです。

山田:私のリカバリー方法は、お皿洗いです。オーストラリアに行った最初の頃、チームメートの家に住んでいたんですが、英語がまったく話せないから話しかけられるのが嫌で、食事が終わったらすぐにお皿洗いに逃げる癖がついてしまい、今ではそれが気分転換の方法になりました。集中していろいろなことを考えられる時間なんです。
この対談では毎回ゲストの方にお聞きしていることがあるんですが、これまでの競技生活では、大変なことの中にも幸せだなと感じる瞬間があったと思います。そんな「ハッピーゾーン」について教えてもらえますか。

本多:スノーボードを続けてきた20年近くの間には、やめようかと思ったこともありました。それでも続けているのは、一緒に頑張っている仲間の存在が大きいですね。仲間の頑張りがあるから自分も頑張ろうと思えます。ライバルでもありますが、スノーボードの技術だけじゃなく、人間的な部分も成長させてもらっているので、大事にしていきたいです。
仲間がいることの幸せを感じていますし、いろいろな年代の人と関わることができて、スノーボードを続けてきて良かったと思っています。

山田:いろいろな人に会うと、刺激を受けて成長できますよね。私は昔、いつも人と違うところを見つけよう、人と違う強みを伸ばそうと考えていたんですが、今は、自分と似ている人に出会えることはラッキーなんだと思うようになりました。その人のことを知ることで自分自身を見つめ直し、さらに成長できるチャンスだから。自分と似ている人、同じ考えの人のことをもっと知りたいと思うことが、最近の私のハッピーゾーンです。
お互い、自分たちのスポーツを大きく広げていきたい、楽しさを知ってほしいという熱い思いを持ちながら、選手として頑張りましょう!

Message

大怪我と表裏一体のスノーボード。そのような競技を小柄な本多選手が操ることができるのは、彼女が発するみなぎるエネルギーと、彼女の「芯の強さ」にあると対談を通じて理解できました。本多さんが言及された「できるイメージ」を描くことの大切さは、私自身もコーチングの際、そして選手としても今一度大切にしていきたいと、気持ちを新たにさせてもらいました。本多選手に感謝です!
お互いの趣味であるゴルフ、ぜひ近いうちご一緒しましょう!

プロラクロスプレイヤー 山田 幸代


今回初めて山田さんにお目にかかり、普段なかなか接点がない方なので、どんな対談になるかとても楽しみにしていました!実際に対談して、山田さんはとても明るくパワーのある方で、女性としての魅力を感じました。そして、ラクロスの第一人者としての山田さんの行動力に、私自身いい刺激をもらいました!私も、選手、指導者として業界を引っ張っていけるよう、これからもがんばっていきたいです。素敵な機会をありがとうございました。

プロスノーボーダー 本多 未沙

地上最速球技といわれるラクロス。棒の先にネットを張ったスティックを操り、直径6cm、重さ150gの硬いゴムボールを奪い合う競技。特 に男子は激しく相手を叩き合い、接触も激しくその迫力に驚かされる。戦略的なパスワークを生かし、シュートにつなげるチームプレイはサッカーにも似ている。今、2028年のロサンゼルスオリンピックに向けたラクロス普及活動が広まり、 ラクロス人口が日本でも増えつつある。

ラクロスの歴史

ラクロスの始まりは、北 米の先 住民が神聖な儀式として部族間の争いを平和的に解決するもの、競技を通して若者の勇気や忍耐力を鍛えるものとして行わ れていた。19世紀にカナダで新しいラクロスのルールが作られ、その後カナダの国技に認定。男子の競技として広まった後、スコットランドで女子ラクロスが始 まり、ラクロスが世界的に広がっていった。

ルール紹介(2018年現在)

男子ラクロス

  • 1チーム10人構成
  • ヘルメッドなどの防具を着用
  • 試合時間15分×4(クウォーター制)
  • 接触プレイが可能

女子ラクロス

  • 1チーム10人構成
  • アイガードやマウスピースを着用
  • 試合時間15分×4(クウォーター制)
  • 接触プレイは不可
  • 試合開始や再開時はドローという方法をとる

人とつながること、それが不動産業。
人から人へ、架け橋となるような仕事をしたい。
BIRTH代表 / 株式会社髙木ビル代表取締役 髙木秀邦

BIRTH BIRTH

2020年2月 BIRTH LAB(麻布十番髙木ビル1F)にて
Supported by BIRTH 企画・編集:杉山大輔 
ライター:楠田尚美 撮影:稲垣茜

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